「職業選択の自由、あははん(古い!)」と「ベーシックインカム」

http://d.hatena.ne.jp/NOV1975/20080127/p3
で、「ベーシックインカム」というものを知った。どうなんだろう? 私も考えてみる。
Wikipediaでどんなもんなのかさらっと確認してみる。

「すべての個人に、無条件かつ普遍的に、生存を可能にする基本的必要を満たすと同時に生産=表現の自由を行使しうるだけの一定額の所得を給付する」所得保障の制度であり、社会構想である。
(中略)
ベーシックインカムはまた、福祉(所得)と就労(労働)を切り離すことで、従来の福祉制度において不可避の問題であった、賃金水準の変化にともなう生活不安を払拭しうる。この点で所得と就労とが強く結びつけられたワークフェアの構想とは対極にある。

うわー、、、個人的には非常にうさんくさい目で見ています。
「労働と所得を切り離す」ということは、「労働に対する対価を否定する」って事とは違うのかな?
なんか、時代遅れの共産主義を見た気分。曰く「理想は高いよね」――
 
だってさ、仕事しようがしまいがひとまず生きていけるだけの金が入ってくるんなら、私は「マジで仕事なんて放り出して自堕落な生活し始めます!(断言)」ええ、もちろんです。仕事せんでもとりあえず生きていける保証があるわけですから、好きなことやって生活しますよ? それこそ、ひねもす駄文を書き続けるくらいのことはしましょう。うん。
って――みんな考えるよね? ね?
つまり、私が言いたいのは、労働の否定はしてなくても、労働の価値を否定するんじゃないのかなって思ったのです。価値無き労働に就労の意味があるのか? という問題ですね。
 
だいたい、現在の「働く理由」の第一位は「お金」ですから。
バブルがはじける前の働く理由は「生きがい」なんてヌルい理由が一番でしたけど、現状「やりたい仕事に就けない」人が増えている現在、生きがいなんて言う余計なもんは持っちゃいかんのですよ。もっとCoolにNihilに世界を斜に見て「フッ」って鼻で笑う位じゃないと!
生き辛い世の中です。
 
いやね、何らかの職業に就かないといけない! でも、仕事し無くても生きていけるって事になったら、私は迷わず「仮想の株式会社」を立ち上げますね。業務内容は「何もしない*1」の!
んで、役所には「仕事をしています!(ただ、お客が買ってくれないんです!)」っていえるしね。
もし、やったとしてもCPUの空き時間を使ってデータマイニングをする会社みたいな、濡れ手に粟商法だな。あれなら多少もうけがでるはず。
これを悪徳というのでしょうかね? 私なんて小人ですから、閑居すると不善をなしますわ。
 
これの対極が、ワークフェアですね、それって職業選択の自由*2というのをほっぽり出して、「これらのリストにある職業や仕事を一定期間したら報酬をあげよう!」って感じです。
つまり、体のいい兵役です。死にづらいってのと、部隊を自分で選ぶことができる*3ってだけが違いです。こっちはこっちで問題があるわけですね。
 
どっちも、国民全員に平等な保証をっていうのがどだい無理がある話なんだというのは、無きにしろあらずです。
私の指向は「小さな政府」を求める感じです。国家は安全だけを提供するのが望ましい。というポリシーではあります。この安全というのは「他者に侵害されない」という意味の安全ですね。お互いが侵害されないように国が法律というルールで個人の権利をある程度侵害するのを認めるって言う考えです。

 
ところで、人が労働から切り離されたらどうなるのか? という問題について――
古代社会が証明しています。「ギリシア・ヘレニズム文化」という概念で取り扱われていますね。当時ヘレニズムが花開いた当初は、「奴隷」という名の「労働者」によって支えられていました。
くしくもロボットの語源が「労働」を意味するとは皮肉な話です。
とにかく、当時の男達は暇をもてあましていました。生きるために必要な労働はバルバロイと呼ばれる異民族が肩代わりしていましたし、もちろん、料理洗濯といった家事も女性が担当していたわけですから、まじで男どもはすることがない世界です。彼らはアゴラと呼ばれる集会場へ毎日のように集まり、だべって、ちょっとした運動*4して家に帰る生活です。そこで彼らが生み出したものは、科学の礎となる自然哲学を生み出したわけですね。
プラトンの『国家』なんて、やや崩壊しつつあるギリシアのポリス制度を何とか復活させようと言う執念の作品といえなくもないですね。
思索活動はコストが掛からないからねー。
そういう世界だと思索活動が増えるんじゃないのかな? って思いました(実現はしないだろうけど)
 
あ、あと現在のホワイトカラーなんて出来の良いベーシック・インカムじゃないの? って言ったら世の出来の悪いホワイトカラーの中の人は怒り出すのでしょうかね?
:-)

*1:具体的に登記簿に書くとすると「イベント企画」とか「○○コンサルティング」などの微妙なこと書けばいいんだしね!

*2:実際問題、現在も『選択』が自由なだけで、実際に自分の希望する職に就けるかどうかは別問題な訳ですが、このお題目は必要なんじゃないのかなと思うわけです。

*3:でも、結果的には選ぶことはできないような気がします。いわゆる定員割れとか、技能不足とか理由が付けられますから。

*4:戦争の訓練ですね。恒久的な労働力の補給は市民活動を支えるために必須の要素です。