親告罪のメモ(ひっそりと反論)

著作権に関する「親告罪」と企業や団体が抱える「リスク」という問題。
親告罪だから外野は黙っていろって言うのはあらゆる意味で真だと私は思ってます。
何故か?
著作権が侵された時点で、「被害者」が取る行動は次の通りになるからです。

  1. 著作物の流通の停止を求める。
    1. 直接、その著作を侵害していると思うに相当する企業や団体に直接申し入れる。
    2. 裁判所に、「差止請求」を行う。(著作権法第112条)
      1. 申し入れる対象は当たり前ですが、被害者たる「著作権利者」か「法定代理人」または、著作権利者死亡の場合は権利者の配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹です。これは、刑事訴訟法230条〜236条に拠ると思うな。
      2. こちらは、故意・過失を問わないです。
      3. もちろん、これは仮処分を含みます。
  2. 裁判(または示談)で行われる権利者の権利及び利益の保障
    1. 損害賠償請求
    2. 不当利得返還請求
      1. Wikipediaは、本案件に対して利益は得てないのでは?
    3. 名誉回復等の措置請求
      1. 名誉毀損
    4. 刑事責任の追及
      1. 平成17年1月より5年以下の懲役、500万円以下の罰金に引き上げ

これ以外の、三者による阻害というのは逆に「著作権者」の知名度やその他、付属的な権利(つまり著作人格権に相等する権利)を逆に侵害するのではないでしょうか?
つまり、「著作人格権による公表権(未発表だったら)の逆侵害」や「著作財産権の各権利の侵害(特に複製権の逆侵害)」って事になりえるんじゃないの? って疑問。
つまり、著作権を持つAはA以外の人に(B,C...)複製する権利を与えて居るわけですから、複製できる権利を持ったBに対して、Cがコピーダメ!って言うのははなっからおかしい現象です。本来の複製を許可する権利はAに属するのにCが不許可というのはAに対する侵害と言えるのではないですか?
公表するもしないも、二次著作しようとしないと、公衆送信しようとしないと全ては著作権者が持つべき権利であって、第三者が手を付けて良いものではないのではないか? と言う考え。これが、本来の自由ってもんじゃないのか?
 
もう一つ重要なのが「プロバイダ責任法」ですね。
著作権に関するガイドラインが示されており、「管理者」の管理指針としては非常に有用です。
プロバイダ責任制限法( 著作権関係ガイドライン (2003.1) ):PDF

申出の主体
権利行使をできる主体は権利者であり、権利者からの申出であれば、著作権等侵害であるか否かを適切に判断することが可能であることから、本ガイドラインにおいても、申出の主体は権利者とする。具体的には、次のとおりとする。
(1) 送信防止措置の申出をする者は、著作権等を侵害されたとする者本人及び弁護士等の代理人とする。
(2) 著作権等管理事業者(著作権等管理事業法(平成12年法律第131号)2条3号の「著作権等管理事業者」をいう。)は、著作権者等との間で、著作権等を移転し、著作物等の利用の許諾その他の当該著作権等の管理を行わせることを目的とする信託契約を締結している(信託管理型)場合は、当該契約等において認められた範囲において、申出を行うことができることとする。
(3) 共同著作物等については、共同著作権者等のうちの一人であっても、申出を行うことができることとする。

もう一つは、その認定基準。

プロバイダ等による情報の送信防止措置は、発信者の表現行為への直接の制約であるため、可能な限り誤った措置が講じられることのないよう、また、ガイドラインの信頼性担保のために、権利侵害があることを容易に判断できるものを対象とすることが好ましい。
そのため、著作権等侵害の態様を、以下の(1)、(2)に分類して、それぞれの分類にどのような態様があるのかを列挙し、この分類に該当するものについて、本ガイドラインの対象とする。また、今回列挙されなかった権利侵害の態様についても、実務の状況等を踏まえ、今後の本協議会の継続的な検討により合意が得られた場合は、随時追加していくこととする。
(1) 著作権等侵害であることが容易に判断できる態様
a)情報の発信者が著作権等侵害であることを自認しているもの
b)著作物等の全部又は一部を丸写ししたファイル( a)以外のものであって、著作物等と侵害情報とを比較することが容易にできるもの)
c)b)を現在の標準的な圧縮方式(可逆的なもの)により圧縮したもの
(2) 一定の技術を利用すること、個別に視聴等して著作物等と比較すること等の手間をかけることにより、著作権等侵害であることが判断できる態様
a)著作物等の全部又は一部を丸写ししたファイル((1)a)、b)以外のものであって、著作物等と侵害情報とを視聴して比較することや、専門的方法を用いて比較することで確認が可能なもの)
b)(1)b)又はa)を圧縮したものであって、(1)c)に該当するものを除いたもの
c)a)又はb)が分割されているもの

今回は、(1)に抵触する可能性があるという話し。
しかしながら、送信防止措置の申し出をする者は明確に定義されていますので、第三者が勝手にごねるというのはおかしい話し。
著作権ゴロと揶揄されている「カスラック」などと同じ構図であると言わざるを得ません。
 
ネットに於いて、ジャスラックがあれだけ叩かれておいて、今回の件が第三者でも削除するに値するって意識の方が問題が高いのではないでしょうかね?
 
ローカルルールにしろなんにしろ、ある程度パブリックな立場にあるWikipediaも含めて、日本国内における案件について、一応曲がりなりにもこのような「ガイドライン」としてのマニュアルが提示されている以上、それ以上の「過剰的」もしくは「ヒステリックな」反応は逆に「表現者の自由を阻害する」可能性の方が高いのではないかと私は思ってます。
たとえ、みんなが共有できる百科事典の作成というのを目指すのであれば、あらゆる意味での「情報公開用のルール」としてGFDLと言うルールってのは欠陥品じゃないのか? と言う問題を提起しているのです。
 
もっと、ぶっちゃけた話しをすると、Wikipediaの管理者は管理者らしく「プロバイダ責任制限法 著作権関係ガイドライン」に従って適切に判断すべきじゃないのか? と言う理論です。特定電気通信役務提供者というのは、掲示板の運営者も含めることを忘れてはいけないと思うのだけどね?
ま、ガイドラインガイドラインだけどさ!