「防衛省」発足、三島は何を思うだろうか……。

良くも悪くも「三島事件」は自衛隊の楔だと思う。
1970年だから既に36年も経っているが、(もちろん私も生まれてなど居なかったが)昭和史の中でも特異点として日本のクーデター未遂事件として残っている。

防衛省」が9日に発足した。先の臨時国会での関連法成立を受けて、内閣府の外局として位置付けられてきた防衛庁が独立、省への昇格が実現した。新たな省の誕生は、2001年1月の中央省庁再編以来。安倍晋三首相は9日の閣議で、久間章生防衛庁長官を初代「防衛相」に任命する。

三島の檄文にはこのような下りがある

われわれは今や自衛隊にのみ、真の日本、真の日本人、真の武士の魂が残されているのを夢みた。しかも法理論的には、自衛隊違憲であることは明白であり、国の根本問題である防衛が、御都合主義の法的解釈によってごまかされ、軍の名を用いない軍として、日本人の魂の腐敗、道義の頽廃の根本原因を、なしてきているのを見た。もっとも名誉を重んずべき軍が、もっとも悪質の欺瞞の下に放置されて来たのである。自衛隊は敗戦後の国家の不名誉な十字架を負いつづけて来た。自衛隊は国軍たりえず、建軍の本義を与えられず、警察の物理的に巨大なものとしての地位しか与えられず、その忠誠の対象も明確にされなかった。

いかにも国粋主義者の右肩よりな文章ではあるが、一部の真理をついている。
現状の改憲問題は常に9条を問題としている。

 沖縄返還とは何か? 本土の防衛責任とは何か? アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。あと二年の内に自主性を回復せねば、左派のいう如く、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終るであらう。

防衛省への格上げは三島の懸念した時代だったのだろうか?
それとも待望した時代だったのだろうか?
 
しかし、36年の歴史は重いと思う、イラクへの派兵でアメリカの傭兵として機能してしまった。
護憲か国防かと言う問いはまだまだ先送りされるのではないだろうか?