老ヴォールの惑星 小川一水

久々の日本SFのヒットかも……。

ギャルナフカの迷宮
ギャルナフカという地下迷宮に投獄された。政治犯の話――疑心暗鬼、むき出しの人間性を如何に活かして一帝国を作るかという話しですが、ちょっと青臭さが否めません。が、舞台設定語り方は読ませる物があります。
老ヴォールの惑星
表題作――ホットジュピターに暮らす特異な知性対の生体を描いた作品です。この生命体の進化は知性の継承を一義と考えていて、なかなか興味深い内容でした。ただ、微妙に人間くささが抜けていなくて「え?」と思ってしまう表現が遭ったりと若干不満は残る物の小川作品の新天地の予感は感じさせる物でした。
幸せになる箱庭
VR*1が進んだOI*2の残した遺産をテーマに、VRの恐怖や意義について疑問を提示した作品だと思います。
漂った男
書き下ろし作品、コレを読むだけでもこの本を買うべきだと思います。と、言えるほどの作品オススメ――
状況は悲劇的なのに主人公のオプティミストぶりに作品自体を喜劇的状況にするいままでの小川作品の手法を提示しながら今までにない対人関係・環境との折衝をテーマにした作品だと思います。

備考として、ノンフィクションライタの松浦晋也氏の解説がスゴく良かったのは公然の秘密と言うことでw

*1:ヴァーチャル・リアリティ

*2:オーバーインテリジェンス