空飛ぶ馬

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

再読です。
殺人事件が起きないミステリーですが、これがまた……。
探偵役が噺家さんでいろいろと落語の話も出てきます。
個人的に落語は好きで都内の演芸場などにもたまにいってます。
個人的に気に入っているのが「砂糖合戦」マクベスと強情灸をモチーフに作られている作品です。マクベスはググレばいいので放置しますが、
落語「強情灸」とは、柳家小さん師匠がよくやったネタで、ある男が友達に、灸を末に言ったときの自慢話をしている。大勢の先客が、さぞ熱いだろうとしり込みする中で、自分の番が来たのでスーッと入っていくと、後ろから「この人ァ我慢できますかな」「まあ、無理でしょう」とヒソヒソ話。癪に障った強情もの、たかが灸じゃないかと、先生が止めるのも聞かずに両側で32もいっぺんに火をつけさせて、ビクともしなかったと得意顔、それを聞いた友人がたかがモグサ石川五右衛門は煮えたぎった油の中で辞世の句まで詠んでらぁって言いながら左腕にモグサをてんこ盛りにして着けたというお話、見所はだんだんと熱くなっていく様子が演者が顔を真っ赤にする所なので、実際に見に行かないと話の面白みが見えないのが難点ですね。
もう一つの愁眉は、「赤ずきん」なかなか怖いです。人の内なる闇を見るというのはこういうものかと思わせる内容だったと思います。