キャラクター小説の作り方 大塚英志
- 作者: 大塚英志
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/02/20
- メディア: 新書
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既存のファンタジック小説の脱構築を計ったみたいです。それが成功しているかどうかは、扱っているタイトルが少々少ない気がします。
本人はサブカルを否定しながらサブカルの中で生きている人だと認識。
9・11(アメリカ同時多発テロ)の考察はなかなか秀逸だと思いました。
湾岸戦争の時のように国際社会から笑われたくない、と主張する人が多かったのも全ては今回の戦争で「日本」というアイデンティティを回復できると感じているからです。さらにそう言う人たちは「日本」がアイデンティティを回復できれば、自分もアイデンティティを回復できると感じてしまう類の人だとも言えます。
神話研究から派生したハリウッド脚本術は、ある程度知っている人には有名な神話の法則性を生かした物ですが、「内なる欲求」と言うテーゼに対しての解答としてはなかなか興味深い考察だと思います。
ただ、一言苦言を呈するのなら、キャラクター小説と対になるはずの「私小説」との異同に付いての言及は何となく説明不足かと思いました。